「立ち仕事で夕方には脚がパンパン」「座りっぱなしのリモートワークで脚が重だるい」「脚のだるさで夜寝つけない」そんなお悩みはありませんか。
今回の記事では、むくみケアの専門家である林明辰先生に、簡単に取り入れられるむくみの予防法を教えていただきました。
リンパ浮腫(ふしゅ)治療の第一人者として、診断・手術に用いる最先端のリンパ管イメージング技術を世界で初めて発表。「教えて!林先生」シリーズでは、数多くのリンパ浮腫患者さんの治療を通して、一般の方のむくみのお悩みに寄り添うアドバイスをいただきます。週3日のランニングがルーティーン。好きな食べ物は納豆卵かけご飯。趣味はLEGO。亀田総合病院/亀田京橋クリニック リンパ浮腫センター センター長
無理なく続ける4つのむくみ予防法
むくみケアのかなめは、むくむ前に予防すること。先手必勝で、より快適な毎日を送ることができます。
とはいえ、毎日運動しましょう、なんて言っても、いきなりはなかなか難しいですよね。ご自身の生活に合った、続けやすい方法から試してみてくださいね。
むくみの予防法① 弾性ストッキング・ソックスの着用
むくんだ脚をケアする「着圧ソックス」などをおやすみ前に使ったことのある方も多いかと思います。
けれども、「むくむ前の予防」という観点では、日中に履く医療用弾性(だんせい)ストッキングやソックスがおすすめなんです。医療用ならではの強圧タイプなので、体の末端から中心に向けて段階的に圧迫を加え、血行やリンパの流れをうながし、むくみを予防・改善します。
ストッキングは圧力が強いので履くのに慣れるまでは少しコツが必要ですが、「履くだけ」なら忙しい毎日のむくみケアに無理なく取り入れられるはず。立ち仕事、運動不足や冷えなど、むくみが気になる方はぜひ一度試してみることをおすすめします。
むくみの予防法② 入浴の習慣
むくみを予防するには、ぬるめ(38~40℃)のお湯に長め(20分程度)に浸かる入浴習慣も効果的です。
ぬるめのお湯は副交感神経に作用し、筋肉の緊張をほぐしたり、全身の血流をうながしたりする効果があります。むくみを解消する水圧効果を高めるためには、みぞおちくらいまでの半身浴がおすすめです。湯船の中で、さするようなやさしいマッサージをするのもよいでしょう。
入浴時間が十分取れないときには、足湯だけでも大丈夫。むくみの解消・予防のどちらにも効果が期待できます。
むくみの予防法③ 食事の工夫
むくみの根本的な予防には、食事の塩分を減らすことがおすすめです。
外食が続いたり、加工食品を多く食べると塩分過多になりがちですので、できるだけ塩分控えめのメニューを意識するようにしましょう。特に、アルコールを飲む際は塩味の多い味付けになりがちです。
また、アルコールには利尿作用があり、体が水分不足になりがちですので注意が必要です。さらに、アルコールを飲んだりおつまみを食べたりした後すぐに寝てしまうと(そんな方も多いはず)、今度は利尿作用をさまたげる「抗利尿ホルモン」というホルモンが出やすくなり、これもむくみの原因に。むくみ予防には、お酒との上手な付き合いかたも大切、ということですね。
塩分のとり過ぎが気になる際には、塩分を体から出しやすくする「カリウム」を多く含む食材をチョイスすることもおすすめ。カリウムを多く含むのは、ウリ科のスイカやきゅうり、冬瓜のほか、バナナや柿などの果物です。
むくみの予防法④ 運動習慣をつける
むくみの大きな原因のひとつは筋肉不足です。ですので、むくみ予防についてお話するとき、避けて通れないのが「運動習慣」。僕自身、多くの患者さんにもおすすめしてきましたが、やはりハードルは高いですよね(笑)。
もちろん、いきなり「ジムに通いましょう」なんて言うつもりはありません。
意識したいのは「体の血流やリンパの流れを普段から良くしておくこと」。
通勤、通学やお出かけの際に、駅のエレベーターではなく階段を使う、一駅分だけ歩く、などでも十分です。歯磨きをしながらスクワット、そんな小さな運動から始めても大丈夫。無理なく、毎日続けられる運動習慣が見つかるといいですね。
むくむ前からのケアでご機嫌な毎日を
以上、むくみの予防法を4つご紹介しました。
弾性ストッキングやソックスの活用、入浴、食事の工夫、そして無理なく続けられる運動を組み合わせれば、むくみにくい習慣づくりが叶うはず。
「むくんでから」の対策だけではなく、「むくむ前から」のケア、そしてむくみにくい習慣づくりで、毎日を快適に、昨日よりほんの少しハッピーに過ごしていただきたいと思います。