リンパ浮腫にはおしゃれの悩みがつきもの。
ここでは、enStylers*のクローゼットの中にある愛用品、リアルクローズをご紹介します。
さあ、わたしたちと一緒におしゃれの旅に出かけましょう!
今回のテーマは、涼しいスタイル【素材・生地編】。夏を心地よく楽しく過ごすファッションのコツは、素材選び。快適さもおしゃれ感もグレードアップさせる工夫をご紹介します。
*enStylers:リンパ浮腫とともに、自分らしくstyleをもって生きるひとたち
大学医学部在籍中にリンパ浮腫患者のファッションの研究に着手。卒業後はアパレルメーカーに就職。ファッションを通じた生活支援を目標として情報発信などをおこなう。
おすすめポイント&着こなしのヒント
Hint To Choose
涼しく快適な着心地を叶える服選びのポイントは、繊維×編み方・織り方の組み合わせ。
夏におすすめのチョイスをご紹介します。
まずは、繊維。
夏素材の定番は、綿、レーヨン、麻、リヨセル、ポリエステルなど。
綿やレーヨンは吸湿性、麻は速乾性と接触冷感(触った感じがひんやり)、リヨセルは肌触りのよさが特長です。ポリエステルも、速乾性に優れており、また、しわになりにくいのが嬉しいポイント。
さらにおすすめなのは、繊維の特長の良いとこどりをしたミックス素材。涼しさとお手入れのしやすさを兼ね備えた機能性素材も多種多様です。
特に麻は、少し入るだけで涼しさと張りがプラスされるので、夏の重要素材。
他にも、紙や竹など、夏に嬉しいシャリ感のある素材もチェックしていただきたいです。
「吸湿」「速乾」「接触冷感」など夏素材のキーワードで調べてみると◎。
次に、編み方・織り方。
夏にチェックしたいポイントは、通気性と肌ばなれ(肌に密着しない)の良さです。
クロシェ編みやシースルーなどの透ける素材は、通気性が良く、見た目にも涼しいですね。
また、サッカー地や、楊柳、リップルなど、生地の表面に凹凸のある素材は肌ばなれが良いので、より涼しく感じられます。
Good Point
【浮腫カモフラージュのポイント】
身体に密着しない素材は、涼しいことに加えて、体のシルエットを拾いにくいので浮腫のカモフラージュにもなります。張りのある素材や、凹凸のある素材を選ぶのがおすすめです。
【弾性着衣との相性】
麻素材などの張りのある生地は、弾性着衣にまとわりつきにくいので、着心地◎。
また、夏は暑いため、弾性着衣をすっぽりと覆う服装は難しいことも。弾性着衣が見えてもコーディネートが素敵に見えるように、服装に柄や暗色を取り入れて、インパクトを和らげると良さそうです。
透ける素材を身に着けるときは、弾性着衣の端(肌との境目)が隠れるようにすると、より自然に見えてgood!肘から先がレースになっているシャツのような、切り替えになっているものを選んだり、インナーの袖丈を工夫したりするのがおすすめです。
【応用テクニック】
夏の素材にはさまざまな種類があります。異なる素材のアイテムを組み合わせてコーディネートすると、スタイリングに変化が出て、おしゃれ感アップ。
Kibi流コーデ&アレンジ
夏素材をさまざまに組み合わせて、機能性もおしゃれ感も楽しめる大人コーデをご提案。
上肢の浮腫を涼しくカモフラする、シアーシャツコーデ。
涼しげなシアーシャツは、表面にしわのある楊柳素材で、さらに柄ものを選べば、透け感があっても腕が見えすぎず、浮腫をカモフラージュしながら涼しく着られます。
インナーには少し袖丈のあるトップスを合わせれば、弾性スリーブと肌の境目を隠せて◎。
さらにキャミワンピでお腹まわりや脚を涼しくすれば、重ね着でも暑苦しくありません。
涼しいアイテムを重ねることで、リラクシーでもきれいめな大人スタイルに。
下肢の浮腫を快適にカバーするパンツスタイル。
夏のボトムは、素材選びでさらに快適に。麻やリヨセルなどの涼しい素材で、かつ張りがあるものを選ぶと、脚にまとわりつかず、見た目も重たくないので、フルレングスでも涼しげな印象に。
トップスには軽やかな印象の夏のブラウスを合わせれば、すっきりまとまります。
華奢なアクセサリーをプラスしても◎。
Point
弾性着衣が生活の一部になっているenStylersにとって、夏のファッションは暑さとの戦い。涼しく過ごせるアイデアや工夫で、気持ちを楽にできたらいいなと思います。
快適さもおしゃれも両立!たいへんな夏こそ、心置きなく欲張りしちゃいましょう。
健康科学に興味を持ち2016年に東京大学医学部健康科学科に進学。看護学を専攻。服飾サークルに所属するなどファッションへの関心も高く、看護分野におけるファッションの意義を考え始め、医学看護学の枠にとらわれない形でファッション×看護に取り組むために、卒業後、アパレルメーカーへ就職。ファッションを社会生活における重要なツールと捉え、ファッションを通じた生活支援を目標として情報発信などを行う。 大学時代、がん看護の授業で出会ったリンパ浮腫の写真に「むくんだらお洋服はどうすれば良いの?」という素朴な疑問を抱き、リンパ浮腫患者のファッションの研究に着手。卒業研究では、自身でイラストと文章を作成し「リンパ浮腫とうまくつきあうスタイルブック」を開発した。研究論文は「リンパ浮腫管理の研究と実践」第8巻1号に掲載。
「リンパ浮腫とうまくつきあうスタイルブック」
「リンパ浮腫管理の研究と実践」