リンパ浮腫にはおしゃれの悩みがつきもの。
ここでは、enStylers*のクローゼットの中にある愛用品、リアルクローズをご紹介します。
さあ、わたしたちと一緒におしゃれの旅に出かけましょう!
今回のテーマは、涼しいスタイル【形・デザイン編】。夏を涼しく過ごすスタイルは、服の形も大事。風が通り抜けていくような”ゆとり”をもたせて、涼しく、さらに浮腫のカモフラージュも!ダブルで嬉しい夏服のポイントをチェック。
*enStylers:リンパ浮腫とともに、自分らしくstyleをもって生きるひとたち
大学医学部在籍中にリンパ浮腫患者のファッションの研究に着手。卒業後はアパレルメーカーに就職。ファッションを通じた生活支援を目標として情報発信などをおこなう。
おすすめポイント&着こなしのヒント
Hint To Choose
涼しいスタイルのポイントは、大きく2つ。
一つは、ゆとりをつくること。もう一つは、暑さを感じやすい部分を解放することです。
ゆとりのある服とは、つまり、服と身体の間に風が通り抜けられる隙間がある服。
デザインバリエーションはさまざまです。
Aラインやテントラインなどの広がりのある形、タックやダーツによる立体感のあるもの、ギャザーやプリーツで凹凸ができているものなどなど。
身体に密着しないので、涼しく感じられます。
そして、暑さを感じやすい部分の解放。
具体的には、首、手首、足首、ウエストまわりです。
袖やボトムの丈を9分丈にして、少し手首や足首を出したり、ワンピースでウエストまわりを解放したりするだけでも涼しさが感じられます。
ハイウエストボトムを選ぶなど、ウエスト位置を変えて服が重なり合う場所をずらしてあげるのも、ちょっとした工夫です。
日本の夏にぴったりの浴衣も、涼しいスタイルの一つ。
手首や足首が解放され、帯も幅広でハイウエストよりで締めつけないので、実は見た目以上に涼しいのです。
苦しくない簡易帯や、スポーツサンダルを合わせるスタイルなど、すこしカジュアルに、過ごしやすくアレンジした着こなしもさまざまに提案されているので、取り入れやすそうです。
身体のシルエットを拾わず、浮腫のカモフラージュにも一役買います。
Good Point
【浮腫カモフラージュのポイント】
立体的なデザインは、身体のシルエットを隠すのにお役立ち。
上手くカモフラージュするポイントは、メリハリをつけることです。全身をゆったりスタイルにするのではなく、隠したい部分にゆとりをもたせたら、他の部分は少しコンパクトに。ボリュームスリーブトップスに細身のパンツ、ギャザースカートにコンパクトなトップスなど、変化をつけると、バランスよく自然に見えます。
【弾性着衣との相性】
ゆとりのあるデザインの良いところは、弾性着衣に擦れたり食い込んだりしにくいところです。特にカバーしたい部分にゆとりをもたせられると◎。
【応用テクニック】
ちょい見せコーデは、涼しさを感じさせつつ、コーディネートをよりすっきりと見せてくれます。
隠したい気持ちもありますが、すっぽりと身体を覆うのではなく、ほんのちょっとでも手首や足首、首元などを見せて、すっきりと。いつものロングスリーブやフルレングスパンツを少しロールアップしてみるだけでも、印象が変わるのでおすすめです。
Kibi流コーデ&アレンジ
ゆったり涼しげコーデに、シルエットとカラーリングでメリハリをつけて夏らしく。
上肢の浮腫をバルーンスリーブで涼しくカモフラージュ。
夏のボリュームブラウスは、軽い素材が多いのが嬉しいですね。
「トップスインでスタイルアップ!でも夏はウエストが暑い…」というときは、
ティアードやサイドスリットなど、身頃にデザインのあるトップスをオーバーでふんわりと着るのがおすすめです。裾を出して着ても、デザインが効いているので単調になりません。
ボトムのシルエットや色でメリハリをつけると、夏らしくアクティブな、引き締まった印象になります。
下肢の浮腫をベイカーパンツで今っぽくカモフラージュ。
トレンドのベイカーパンツは、程よいゆとりと、ポケットのアクセントで浮腫を視覚的にカモフラージュできるのがポイント。
ロールアップで足元をすっきり見せると、さらに涼しく、見た目も軽やかです。
カジュアルなアイテムですが、カーキなどの合わせやすくて締まる色を選んで、麻のジャケットを合わせて夏のお仕事スタイルにも◎。
Point
夏のおしゃれは程よく気を抜きたいところ。ゆとりとちょい見せで、風通しよく、心地よく過ごせると嬉しいですね。ぜひ、あなたなりのテッパンアイテムを見つけてください。
健康科学に興味を持ち2016年に東京大学医学部健康科学科に進学。看護学を専攻。服飾サークルに所属するなどファッションへの関心も高く、看護分野におけるファッションの意義を考え始め、医学看護学の枠にとらわれない形でファッション×看護に取り組むために、卒業後、アパレルメーカーへ就職。ファッションを社会生活における重要なツールと捉え、ファッションを通じた生活支援を目標として情報発信などを行う。 大学時代、がん看護の授業で出会ったリンパ浮腫の写真に「むくんだらお洋服はどうすれば良いの?」という素朴な疑問を抱き、リンパ浮腫患者のファッションの研究に着手。卒業研究では、自身でイラストと文章を作成し「リンパ浮腫とうまくつきあうスタイルブック」を開発した。研究論文は「リンパ浮腫管理の研究と実践」第8巻1号に掲載。
「リンパ浮腫とうまくつきあうスタイルブック」
「リンパ浮腫管理の研究と実践」