夏を乗り切るケア【快適&おしゃれを追求編】 ~リンパ浮腫、わたしたちのリアルクローゼット~


              夏を乗り切るケア【快適&おしゃれを追求編】 ~リンパ浮腫、わたしたちのリアルクローゼット~

リンパ浮腫にはおしゃれの悩みがつきもの。
ここでは、enStylers*のクローゼットの中にある愛用品、リアルクローズをご紹介します。
さあ、わたしたちと一緒におしゃれの旅に出かけましょう!
今回は、夏を乗り切るケア【快適&おしゃれを追求編】。汗、ムレ、ジリジリ熱い太陽、虫刺されなど、夏はenStylersにとって、手ごわい季節。 けれど、その分快適さを追求するのびしろがたくさん!
今回も番外編として、化粧品会社出身&自身も下肢リンパ浮腫であるencycloStyle編集部の水田が、夏でも快適&おしゃれに過ごすためのアイテムやケア方法をご紹介します。

*enStylers:リンパ浮腫とともに、自分らしくstyleをもって生きるひとたち

 

吉備 悠理(きび ゆうり) 


大学医学部在籍中にリンパ浮腫患者のファッションの研究に着手。卒業後はアパレルメーカーに就職。ファッションを通じた生活支援を目標として情報発信などをおこなう。

 

 

ひんやりミスト・スプレー

 

弾性スリーブやストッキング、ガードルやトゥキャップなど、夏でも身に付けるものが多いenStylersとしては、少しでも体感温度を下げたい! 

そんなときに効果的なのが、ひんやり感じられるミストやスプレーです。 

水分が蒸発するときに、周囲の熱を下げる気化熱作用で、こもった熱を逃がしてくれる夏の名脇役です。 

 

 

Hint To Choose

メントール配合やすっきりした香りのものなど、あの手この手でひんやり感をサポートする様々なタイプが出ていますが、中には肌への刺激が強めのものも。 

肌をいたわりたいenStylersには、刺激の心配が少ないファブリック(衣類)用はいかがでしょう? 

汗をかくたびにひんやり効果が続くもの、程よいクール感でマスクや帽子にも使えるものなど、効果も様々。初めて使う場合は、小さなものから試してみるのも良いですね。

 

 

Care Point 

衣類用というと、一番暑さの気になる弾性着衣にシュッとしたくなりますが、専用に作られたもの以外は繊維を傷めてしまう場合も。 大事な弾性着衣にダメージを与えないように、使い方は注意しましょう!

 

衣類用スプレーは、トップスやボトムスなどお洋服に使うことをおすすめします。着る前に、服の裏側全体に、そして脇、背中、首元など汗をかきやすい部分には集中的にスプレーすると効果的です。肌が弱い方は、Tシャツなど肌に直接触れるものではなく、ブラウスなどに使うのがおすすめ。 

着替え前だけでなく、お出かけ先で洋服の上からも使えるものも多く出ていますが、その場合は、肌に直接かからないように注意! 

「マイナス〇℃」「ジェット式スプレー」など、とても冷たい冷気が勢いよく出てくるものもあるので、少し離した状態でスプレーしましょう。 

 

 

 

さらさらボディパウダー

 

肌のベタベタや汗は不快なだけでなく、かぶれや湿疹など、ムレによる肌トラブル予防のためにも対策したいところ。 

余分な汗や油分を吸着させて、さらさらに保ってくれるパウダーを取り入れてはいかがでしょう? 

汗をかくとスリーブやストッキングを引き上げにくくなりますよね。弾性着衣は、ケア効果のためにも、快適さのためにも、正しい位置にきちんとフィットさせることが大切。

朝の着用前に、ボディパウダーを腕や脚にポンポンとはたいておくと、滑りが良くなって、時短にもなるのでおすすめ! 

 

 

Hint To Choose

ボディ用のパウダーといえば、ベビーパウダーが定番ですが、最近はひんやり効果があるもの、UVカット効果があるもの、肌を綺麗に見せてくれるものなど、一石二鳥のものもたくさん出ています。つける場所や好みで選んでみてくださいね。 

ふんわり大きめのパフが付いたタイプだと広範囲に一気に使えて時短に。コンパクトに固めてあるプレストタイプだと、薄くとるのが簡単で持ち運びにも便利です。 

 

 

 

 

Care Point 

たくさんつけすぎてしまうと、お洋服に白く付いてしまったり、弾性着衣の繊維に目詰まりしてしまうので、あくまで薄く軽くつけるのがポイント。肌につける前に、パフに良くもみこむと、薄くまんべんなくつけやすくなります。 

はじめにつける部分が一番さらさらになるので、ひじの内側や、首など、べたつきが気になる場所にパフを置いて、大きな円を描くように広げていきましょう。 

着用後の弾性着衣は、付着したパウダーをきちんと落とすためにも、押し洗いなどで丁寧に洗ってくださいね。 

 

 

 

 

ネイルカラー&ケア

 

暑い季節は、スリーブやストッキングを覆わないお洋服で、「とにかく涼しさを優先する!」という方も多いですよね。でも、やっぱり浮腫や弾性着衣が目立ってしまうのは気になる…そんなときには、ネイルのおしゃれがおすすめ。 

指先が出るスリーブやストッキングにネイルカラーを合わせる視線分散テクニックなら、涼しく、おしゃれに、そして目に入るカラーの効果で自分のテンションもちょっと上がりそうですね! 

 

 

Hint To Choose

ネイルカラーは、ピンクやベージュなどのナチュラルなカラーよりも、思い切って濃いめのカラーを選ぶのがおすすめ。肌とのコントラストで、弾性着衣のカモフラ効果がさらにアップします。ちょっと勇気がいるな…という方は、濃いめカラーでもカーキやブラウン系など肌なじみの良いものを選んだり、ナチュラルカラーを使いつつ、1~2本だけ濃いめのカラーを入れるだけでも、ぐっと印象が変わります。 

 

肌を傷つけたくないenStylersには、テープ式でワンタッチでつけられるネイルチップや、リムーバーいらずで落とせる水性ネイルカラーも◎。 

お休みの日や、お出かけの日からトライしてみてはどうでしょう? 

 

 

 

Care Point 

ネイルカラーを塗る前に、爪切りや甘皮処理などをする場合は、肌に傷をつけないように注意。深爪や甘皮を切りすぎたりしないよう、特に細かい作業が難しい利き手側は慎重にケアしてくださいね。 

enStylersにおすすめのネイルケアは、ネイルオイルでの保湿。 

これから生えてくる爪を健やかにするだけでなく、ささくれや乾燥をケアできるので、弾性着衣のひっかけなどを防ぐ意味でも◎。洗面所や枕元など、生活の中で自然にケアできるところに常備しておくと良いですね。 

オイルというとべたつきそうに感じるけれど、スクワランオイル、ホホバオイルなどは、肌になじみやすくて夏でも快適に使えます。 

 

暑さで、お手入れやおしゃれどころじゃない!となりがちな季節ですが、ちょっとしたアイテムや工夫で、快適に気分を上げることができるかも? 

みなさんの夏を乗り切る工夫もぜひ教えてくださいね! 

 

 

吉備 悠理(きび ゆうり) 

健康科学に興味を持ち2016年に東京大学医学部健康科学科に進学。看護学を専攻。服飾サークルに所属するなどファッションへの関心も高く、看護分野におけるファッションの意義を考え始め、医学看護学の枠にとらわれない形でファッション×看護に取り組むために、卒業後、アパレルメーカーへ就職。ファッションを社会生活における重要なツールと捉え、ファッションを通じた生活支援を目標として情報発信などを行う。 大学時代、がん看護の授業で出会ったリンパ浮腫の写真に「むくんだらお洋服はどうすれば良いの?」という素朴な疑問を抱き、リンパ浮腫患者のファッションの研究に着手。卒業研究では、自身でイラストと文章を作成し「リンパ浮腫とうまくつきあうスタイルブック」を開発した。研究論文は「リンパ浮腫管理の研究と実践」第8巻1号に掲載。

「リンパ浮腫とうまくつきあうスタイルブック」

「リンパ浮腫管理の研究と実践」

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