むくみは女性にとって身近な悩みです。多くの女性が、特に夕方以降の脚のむくみや重だるさに困っています。
むくみの大きな原因のひとつが「リンパの流れ」。
今回は、長年にわたりリンパの流れを研究してこられた佐藤佳代子先生に効果的なむくみケアマッサージの方法をうかがいました。今日からぜひ、試してみてくださいね。
リンパ浮腫(ふしゅ)療法士として、多くの患者さんの治療にたずさわる。
女性の想いとライフスタイルを支える「暮らしのなかのケア」を推奨。
さとうリンパ浮腫研究所 代表/日本医療リンパドレナージ協会 顧問
リンパは全身に広がるネットワーク
「リンパ」という言葉自体は聞いたことがあるけれど、そもそもリンパがどこにあるのかピンと来ない…。そんな方も多いのではないでしょうか。
「リンパは、全身に広がっているネットワークです。目には見えないほどの細い管(毛細リンパ管)が皮膚のすぐ下を通っています」
毛細リンパ管(緑色の部分)は全身に張りめぐらされています
リンパの役割は老廃物の処理
ー では、リンパは体内でどんな役割をになっているのでしょうか。
「リンパと静脈は体内の水分を回収していますが、血液循環には取り込まれない老廃物などはリンパが引き受けます。リンパは体内を流れながら、有害物質をろ過します。ひざ裏やそけい部などにある『リンパ節』という部分でろ過をおこなって、老廃物を処理しているのです。」
リンパの流れがとどこおると、脚のむくみや顔のくすみ、クマの原因に
ー リンパは体内でとても大切な役割を持っているのですね。そのリンパとむくみ、どんな関係があるのでしょうか。
「リンパ管はとても繊細で、何本も集まって髪の毛一本ほどの細さしかありません。その細い管の中を水分が流れていくのですが、この流れがとどこおると体に様々な影響が出ます。その代表が脚のむくみです。リンパや静脈に回収されなかった水分がたまるのが原因です」
ー リンパの流れがとどこおる原因はなんですか?
「筋肉からの刺激がないと、リンパは水分を回収しにくくなります。デスクワークなどで脚を動かさない女性にむくみが多いのはそのためです。またリンパの流れが悪いと老廃物のデトックス効果が低くなり、顔のくすみやクマの原因にもなりますし、足の冷えを招くこともあるのです」
むくみを解消!リンパマッサージのポイントは「やさしいタッチ」
ここからは、佐藤先生直伝、むくみに効くリンパマッサージをご紹介。ポイントは、グイグイ、ゴリゴリではなく「やさしいタッチ」です。 毎日のむくみケアにぜひ取り入れてみてくださいね。
準備:肩まわしと腹式呼吸
リンパマッサージでは、まず準備として肩まわしと腹式呼吸をおこないます。これは、深部にあるリンパの要所の流れをよくするためです。
まず椅子に座って、鎖骨を大きく動かすようなイメージで肩をゆっくりと回します。前に5回、後ろにも5回。
次に、おへその下に両手を添えて、ゆっくりと腹式呼吸を3~5回。これで準備完了です。
※腹式呼吸は、鼻から空気を吸ってお腹を膨らませた後、
① マッサージのスタートは「そけい部」
マッサージのポイントは、皮膚のすぐ下を流れる毛細リンパ管にアプローチするため、そっとなでるようなやさしいタッチです。
脚のマッサージは床に座っておこないます。リンパが上に流れやすくなるためです。脚をのばして両手を重ねて脚のつけ根にあて、手の位置はそのままに、そけい部の内側に向けて円を描くように5回流します。
② 太ももの内側をマッサージ
次に太ももを三等分して、上部から順番に流していきます。矢印の方向に3回ずつ流した後、太ももの内側を通ってそけい部へと流します。
③ ふくらはぎを下から上へ
続いてふくらはぎのマッサージです。両手で脚を包み込んでおこない、下から上への流れを作ります。ふくらはぎを三等分して、上部から順番に、両手をあてて各3回ずつ流します。
④ 脚全体を包み込むように、そけい部へ
ふくらはぎを流した後は、足首から脚全体を両手で包み込むように流して、そけい部へと戻します。脚のマッサージでは、最終的に脚のつけ根にある「そけいリンパ節」へと流します。脚の内側にはリンパ管がたくさん走っているので、足先からひざ下までは両手で包み込むように流し、太ももの内側を通ってそけい部へ流すのがポイントです。
朝晩のむくみケアで、「そもそも、むくませない」をかなえたい
むくみやすい日中からリンパケアを
ー 脚のリンパを流すやさしいタッチのマッサージ、ぜひ習慣にしたいです。では、「むくみにくい」体を作るポイントはありますか。
「血液が心臓から出て戻るまでは約一分という速さですが、リンパはゆっくり、じわじわと流れていきます。皮膚のすぐ下にあるリンパ管の先端から、出口である鎖骨付近に至るまで半日から約一日もかかるのです。
そこで大事なポイントが2つあります。まずひとつは、むくみやすい日中からケアするということ。リンパは寝ているときによく流れます。ペットボトルを倒すと中の水が横に流れるのと同じ原理です。寝ている間のケアだけでなく、起きている時間、重力がかかって下半身に水分がたまりやすい日中からむくみを予防していくことが大切です」
筋肉に外側から刺激を与えてリンパの流れをスムーズに
「もうひとつのポイントは、リンパを外側からサポートしてあげることです。筋肉を刺激することで、リンパは水分を回収しやすくなるのです。具体的には、マッサージをする、こまめに脚の筋肉を動かす、足首やひざ、股関節をよく動かす、そして着圧アイテムを活用するなどの刺激を与えることで、リンパはよりスムーズに流れていくのです」
むくむ前にケア。朝履くだけで、1日中「ながら」ケアができる弾性ストッキング
リンパの流れをケアして、スッキリ快適な毎日を
リンパは私たちの美容と健康にとても大切な存在です。
リンパマッサージに加えて、日常生活の中で体を動かすことを意識したり、マッサージや着圧効果のあるインナーを活用することで、あなた自身の「めぐる力」を引き出していきましょう。
その場しのぎのむくみケアは卒業。「リンパケア」を取り入れて、ずっとむくみにくい体づくりを目指してみませんか。
佐藤佳代子先生と共同開発。肌への微細な刺激で、すっきり軽やかな毎日へ